春から,実家で土日の家庭菜園を始めました。34坪耕してみました。野菜作りは初めてで,ジャガイモからのスタートです。畑もソーラー発電も,どちらも太陽の恵みを分けてもらうということで共通点を感じます。すべてではなくとも,自分で使う電気を自分でつくってみよう。自分で食べる野菜を自分でつくってみよう。これもDIYです。「農的な暮らしへの憧れ」とか「食物の自給を目指して」,「安全な食物を求めて」,「環境にやさしい生き方を求めて」とかいう構えたものではありません。単純につくるのが面白そうだから,楽しそうだからという動機です。全く経験が無かったので,テキストをもとに,20種以上の野菜を植えてみました。上手くいって収穫の楽しめたもの,芽も出なかったもの,途中で雑草と区別が出来なくなり栽培放棄したもの,病気や虫にやられたもの,収穫真ぎわで鳥に食べられてしまったもの等,色々でしたが,工作と同様,植物を育てることも素直に面白い・楽しいことだと実感しました。必要に迫られ,ハウツー本も複数読みました。来年度も畑を更に広げて挑戦予定です。以下,自分のためにもこの1年の記録をまとめておくことにしました。
畑の栽培プランは以下のようにしました。面積は,2坪×17=34坪 です。縦2坪で2畝にしてあります。 サツマイモは2坪(2畝)に24本の苗を植えました。トマトは1坪に4本の苗を植えました。春夏畑のA(サトイモ・サツマイモ),B(ナス科),C(ウリ科),D(マメ科)は,来年はD,A,B,Cと輪作の予定です。秋冬畑のa,b,c,d,e,f,g,hも同様です。
実家の脇の空地です。実家は福島県の西会津で,JR磐越西線沿いの新潟と福島の県境です。畑の様相にはなっていますが,昔は大きな柿の木が何本もありました。桐の木もありました。今はすべて切り倒されて空地です。年に1度,人にたのんで機械で草刈をしてもらっています。土は固くなっていて,クワで畝たて出来る状態ではありません。スコップで1/4坪だけ深さ30cm位掘り起こして見ましたが,とても出来るもんでは無く,隣の同級生に頼んでトラクターで耕してもらいました。その後,クワで畝立てをしました。たった34坪ですが,休みながら行い,2日かかりました。疲れました。
主な金属製道具は,クワ,スコップ,のこぎり鎌,移植ゴテ,園芸バサミ,熊手です。実家は祖父母の代から農家では無かったですが,田舎ですので,少しは畑をやっていました。これらの道具は,すべて小屋の中にありました。ただし,何十年も使ってないので錆びだらけのも含まれます。ということで,道具での初期投資はゼロです。
読んだ順にあげます。すべて新潟市立図書館か新潟県立図書館の蔵書です。番号を付けたものは,手元に置いておくため購入しました。殆んどアマゾンでの古書です。図書館で初め手にしたのは,野菜の科ごとに百科事典のように,一つの野菜について数ページずつ機械的に栽培法を解説した本ですが,1年を通した作業がつかめず,やめました。ストーリーを持って季節ごとの栽培管理や作業が分かりそうなものということで選んだのが次の3冊です。初めてなのでイメージがつかみやすいように,写真や図の多いものにしました。場合によっては写真よりイラストの方が特徴を出しやすくわかりやすいこともあります。
(1)『藤田智の 菜園スタートBOOK 春夏編』,藤田智,NHK出版 2009
(2)『藤田智の 菜園スタートBOOK 秋冬&春準備編』,藤田智,NHK出版 2009
(3)『まんがと写真でわかる家庭菜園 春夏秋冬』,よだひでき,ブティック社 2012
私の場合は,野菜が育てられたら楽しいだろうな位の気持ちでのスタートなので,一般に安全と認められた化学肥料や薬物を規定量使うことにこだわりはありませんでした。この3冊で終わる予定だったのですが,途中で雑草に手がおえなくなりました。そこで目にしたのが,西村先生の『ぐうたら農法』という言葉です。西村先生は京大農学部の有機農法研究者であられたようです。有機・不耕起・草生栽培です。有機農法はなんとなく知っていましたが,不耕起・草生栽培については全く知りませんでした。分かりやすそうなものを1冊購入することにしました。合わせて先生の本を何冊か読んでもみました。
(4)『雑草を活かす!手間なし ぐうたら農法』,西村和雄,学研パブリッシング 2013
『新ぐうたら農法のすすめ 省エネ有機農業実践論』,西村和雄,人類文化社 2001
『おいしく育てる菜園づくりコツの科学』,西村和雄,七つ森書館 2008
『西村和雄の有機農業原論』,西村和雄,七つ森書館 2015
いろんな事がわかりました。『有機農法』と言うと,安全で美味しく環境にやさしいというイメージだったのですが,そう単純ではなさそうです。他の実践者の本も手当たり次第手にとってみました。一般に行われている農法を『慣行農法』というんですね。恥ずかしながら,こんな言葉も知りませんでした。安全・美味しさ・環境への負荷,どれも慣行・有機の農法の違いによって決まるものではないようです。有機にも多投与の資材依存型と低投与型があって・・・と,読み進めていくうちに,川口先生の『自然農』という言葉に出会いました。雑草対策になるかもしれないと,これも分かりやすそうな解説本を1冊購入しました。(6)は畑などまったくやったことのない父の本棚にあったものです。これが原本なのでしょうか。その分野では有名な本のようです。とてもハウツー本ではありません。宗教書とまではいいませんが,詩のような文章です。お弟子さんに当たる方の書いた本が沢山出ていて分かりやすい記述ではあるのですが,はたしてこの方法は一般化されうるものなのかどうか,誰にでも出来ることなのか,よくわかりません。その土地の気候や土壌などの,個々の条件ごとの経験的対応が必要で,文面とは裏腹に簡単では無いように感じました。
(5)『はじめての自然農で野菜づくり』,川口由一(監修),学研パブリッシング 2013
(6)『妙なる畑に立ちて』,川口由一,野草社 1990
『誰でも簡単にできる! 川口由一の自然農教室』,新井・鏡山,宝島社 2013
『自然農への道』,鏡山・高橋等9名,川口(編),創森社 2005
『自然農・栽培の手引 いのちの営み,田畑の営み』,鏡山悦子,川口(監修),南方新社 2007
『自然農の野菜づくり』,高橋浩昭,川口(監修),創林社 2010
更に色々手に取ってみると,『自然農法』という言葉に行き当たりました。すごい先生がおられたようです。
(7)『自然農法 わら一本の革命』,福岡正信,春秋社 1983
写真で見る福岡先生はまるで仙人であられるようです。インターネットでも検索して,YouTubeでの動画などから粘土団子による実践も知りました。本の内容は説得力はあるのですが,とても私のような初心者がまねできることでもなさそうです。お二人には宗教者・哲学者とまではいかなくとも,武士道ならぬ農法道のようなものを感じてしまいました。
更に色々漁っていて見つけたのが次の本です。(8)は値段の割に内容豊富です。一つ一つの解説が頷けます。鉛筆でアンダーラインを引きながら読みました。同じように出来るかどうかは分かりませんが,科学という気がします。基本はやはり有機・不耕起・草生栽培なのですが,その範囲で前出者のいい子取り,良く言えば経験に学ぶということで最も好感がもてました。農法は手段であるのだから極端にこだわらず,良い点はどんどん取り入れるという姿勢に共感しました。(8)が基本ですが,文章での説明が多いです。(9)はムック本的で写真や図が多く具体的イメージを描く補助となります。輪作・連作について(8)よりやや詳しい解説もあります。
(8)『これならできる! 自然菜園』,竹内孝功,農山漁村文化協会 2012
(9)『自然菜園で野菜づくり』,竹内孝功,家の光協会 2014
慣れ親しんだ講談社ブルーバックスシリーズにこの分野ものはないかと探したところ,ありました。次の2冊です。木嶋先生も有名な方であったようです。(10)が基本項目満載で良かったです。これもアンダーラインを引きながら読みました。
(10)『伝承農法を活かす家庭菜園の科学』,木嶋利男,講談社ブルーバックス,2009
(11)『「育つ土」を作る家庭菜園の科学』,木嶋利男,講談社ブルーバックス,2014
現役実践者の各農法の違いを一望できる次のようなムック本もありました。
『自然農法で楽しむはじめての野菜づくり』,川口・竹内・徳野・木嶋,GAKKEN MOOK 2014
畝立てに疲れ,次の本も手に取りました。
『土がよくなりおいしくそだつ 不耕起栽培のすすめ』,涌井義郎,家の光協会 2015
次の本の『自適農』という言葉に共感しました。前半は著者の農にたいする哲学,後半が実践です。
(12)『自適農の無農薬栽培』,西山敬三,創風社出版 2013
色々読んでみましたが,やはり初めてなので,今年のテキストは(1)(2)で行くことにしました。藤田先生よろしくお願い致します。
ホームセンターから購入したものは,苦土石灰,完熟牛糞堆肥,化成肥料(N-P-K=8-8-8)です。 藤田先生のテキスト(1)(2)通り,種まき・植えつけ2週間前に苦土石灰,1週間前に堆肥と肥料をまいて土づくりしました。苦土石灰と肥料は,大きなペットボトルを切って作った計量カップでほぼテキスト通りの量をまいたのですが,市販の堆肥は気休めにパラパラまいた程度でテキスト通りの使用量には達していません。堆肥づくり用に近所の畑に置かれたものを参考に木枠も作りました。近所のプロ農家のは1辺が1間ですが,私のはその半分の大きさです。1人での持ち上げ・移動が楽に出来ます。
種まきや苗植えつけ日と収穫日のみ記録しました。途中の追肥・土寄せ等はテキスト通りに出来たものと出来ないものがありました。梅雨以降,1週間たってみると雑草がひどく,とてもテキストの写真のようなきれいな畑ではありえないことを実感しました。付近の畑はこまめに手入れして雑草を抑えてありますが,とても真似できませんでした。また,種類が多くなり,土日だけの作業なので,間引きを見落としたり遅れたりしたものもありました。
今年の畑は,このまま慣行農法で輪作しながら継続します。特に今年上手くいかなかった作物に注意を払いたいと思います。
合わせて,有機・不耕起・草生栽培にも興味を持ったので,新たに,およそ10m×20mを畝立てしました。およそ2アールです。やはり同級生に頼んでトラクターで耕してもらいました。土が固くてトラクターの刃がセットした深さにならず困難した部分もあって不安です。その後,スコップで幅1mで畝立て,畝間の通路を幅50cmとしました。やはり2日かかりました。疲れました。テキストは(8)(9)です。今年読んだ本で最も共感の持てた(8)(9)(10)(11)をテキストにしますが,特定の農法にこだわらず,なんでも有りの気持ちで試行錯誤する予定です。