外部アンテナ&アース不要の
ゲルマラジオの製作

 鉱石ラジオやゲルマラジオは構造は簡単でも屋外に大きなアンテナを張りアースもきちんととらないとうまく受信できません。ここでは,同調コイルを兼ねた室内アンテナにより受信するゲルマラジオの製作を紹介します。アースも必要なく,新潟市内ではNHKとBSNが十分な音量で受信でき,ほぼ実用になります。バリコンも自作です。身の回りの製品が高機能ではあるけれどもどんどん複雑になりブラックボックス化していく中で,逆に機能は低くても原理が目に見えるようなものにひかれることもあります。すべてが物理の原理通りのシンプルなラジオです。一日が終わろうとする夜のひと時,そっと平行板コンデンサーの極板をスライドさせると聞こえてくる優しい声や音楽にほっとします。NHK「ラジオ深夜便」を聴くのにぴったりのラジオです。このラジオの原理や配線については「電池のいらないループアンテナラジオの製作」と同様ですのでそちらをご覧ください。

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主な材料
 以下の通りですが,大きさや材質はこれにこだわるものではありません。試行錯誤でいろいろた試してみればいいと思います。
エナメル線(0.5mm径・約30m)
ゲルマニウムダイオード
クリスタルイヤホン(プラグ付)
ジャック
アルミ板(50mm×130mm×1mm×3枚)
木の角棒(12mm×12mm×900mm×2本)
木板(150mm×150mm×18mm)
木板(60mm×60mm×3mm×2枚)
木片(50mm×50mm×50mm,実は三角柱2個)
オーバーヘッドの透明シート(1枚)
接着剤(木工用・弾性他用途用)
ビニール被覆導線(200mm)

工作
 アンテナ兼同調コイルをまく角柱を十字に組み,スタンドとなる板に取り付けます。すべて木工用接着剤による接着です。十字の角棒は,縦はホームセンターで手に入る12mm×12mm×900mmの角棒をそのまま使っています。横は740mmに切って使いました。したがって,一本の腕の長さは370mmです。十字の中心部は切り込みを入れて組合わせてありますが60mm×60mm×3mmの木板2枚ではさんで接着し補強してあります。角柱の端から1cmおきに約2mmの切込みを十字の内側に向けて斜めにノコギリでいれてエナメル線をひっかけています。エナメル線は十字の内側から15回巻きました。巻き数については,ここでは紹介していませんが,ほぼ同じ大きさで渦巻き状でなく密着して巻いたアンテナ兼コイルを作ったとき,10回巻きで市販のAM用ポリバリコン(約260pF)がぴったりだったことから,それより多めにしました。デザイン上この巻き数に決めたとも言えます。写真では十字の角棒を50mm×50mm×50mmの木片に穴をあけて差し込んだようになっていますが,三角柱を2枚接着したものです。ホームセンターでは木工用に角柱や円柱や円錐,およびそれらを縦に割った形のものなどいろんな加工した木片が手に入りますので,そのひとつを利用しました。ノミを使うのも楽です。

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 バリコンは教科書どおりの平行板コンデンサーで,アルミ板をスライドさせます。50mm×130mm×1mmの3枚のアルミ板の間にオーバーヘッド用の透明シートをはさんで使用します。二本の角棒をスタンドとなる板に接着し,それではさんであるだけです。どのくらいの容量が必要かはっきりしなかったのですがこの大きさにしました。外側の2枚のアルミ板を電気的に接続し,真中のアルミ板をスライドさせると実測では最大1000pF以上になるのですが,ここまでの容量は必要ありませんでした。このアンテナ兼コイルの場合は数百pFでよい様なので外側の2枚のアルミ板は接続してありません。アルミ板に導線をハンダ付けする予定だったのですが,電子工作用の18Wと30Wのハンダごてしかなく,うまくいきませんでした。それでアルミの切れ端を使って導線を包み込み圧着することにしました(下の左の写真)。真中のアルミ板も同様にして導線と接続してあります。

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真中のスライドさせるアルミ板は上の右の写真のような形にして,絶縁のため手に触れる部分には木片を接着しました。この形にすると引き抜いて容量を小さくしたときでもある程度差し込まれているのですべって抜け落ちることがありません。

 同じように作ったつもりでも,ちょっとした工作の違いで音の大きさが変化します。ハンダ付けをしないで組み立てることも可能ですが,安定した受信と音量を得るためにはハンダ付けすべきです。コイルについても中間タップを出してダイオードをつける最良の位置をさがしたほうがよいのかもしれません。導線の引き回しも影響あるようです。まさにアナログ回路で,ローテクではありますが工夫する点はたくさんあります。おおいに工作を楽しみましょう。

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